「内定を提示したあと、候補者から質問がほとんど来ません」

説明会も面接も丁寧に進めた。条件も提示した。あとは承諾の連絡を待つだけ。

そう思っていたら、期限の前日に辞退の連絡が届く。

内定者は、黙っているあいだ何も考えていないわけではありません。むしろ、いちばん考えています。

ただ、その中身は会社に届きません。

内定者に話を聞くと、面接や面談では言わなかった本音が出てきます。本記事では、その声を紹介しながら、会社が内定後に何を渡せばよいかを考えます。

内定者目線の困りごと:決め手がないまま、期限が近づく

複数の内定を持つ人が最初に困るのは、どこも良さそうに見えて、選ぶ基準が作れないことです。

内定者に聞くと、次のような声があります。

「どちらの会社も良い人ばかりでした。だからこそ、何を基準に決めればいいのか分かりません」

「給与が高い方に気持ちは傾いています。でも、お金で決めたと思われたくなくて、誰にも言えません」

「仕事の内容は説明してもらいました。ただ、自分が毎朝出社して、実際に何をしているのかがイメージできないんです」

内定を辞退された会社側は「条件で負けた」と考えがちですが、必ずしも条件の比較で迷っているとは限りません。

入社後の自分をイメージできる材料が、どちらの会社からも足りていないのです。

しかし、内定者は、この状態を会社に相談しません。それはなぜか?

迷っていると伝えること自体が、失礼だと感じるからです。

内定者目線の困りごと:会社には聞けない質問が残っている

内定後の面談で「何か質問はありますか」と聞くと、「特にありません」と返ってくることがあります。

質問がないのではなく、心理的に聞けないです。

「残業や離職率を質問したら、やる気がないと思われそうで聞けませんでした」

「配属先の上司がどんな人なのか、いちばん知りたいところです。でも、相性を気にしていると思われたくなくて」

「同じ時期に入った人が、今どのくらい残っているのか。それが分かれば安心できるのに、自分からは聞けません」

「親に会社名を伝えても分からないと言われました。どう説明すれば納得してもらえるのか、正直困っています」

内定者は、承諾前の自分を、まだ選考されている立場だと考えています。

聞きにくい質問ほど、入社の判断に直結する内容です。

これらは、聞かれてから答えるのでは間に合いません。

解決策:迷っていることを仮説して、会社から先に情報を出す

内定者の本音に対して、会社ができることは三つあります。

比較の軸を、会社から説明する

「当社を選んでください」と伝えるより、「こういう点で比べてください」と伝える方が、内定者は判断できます。

任せたい仕事、育て方、働く時間、一緒に働く人、自社が説明できる軸を並べ、他社と見比べてもらう形にします。

聞かれていない質問に、先に答える

残業の実態、配属先の上司の人柄、同じ職種の先輩が今どうしているか。

内定者が聞きにくい内容を、会社の側から資料や面談で先に出します。

数字も、良い面だけを並べず、実際の値を伝えます。

まとめ:

内定者は、面接を受けている時よりも、内定をもらってからの方が悩んでいます。

決め手が見つからない。

聞きたいことが聞けない。

家族に説明しなきゃ。

回答期限だけが近づいてきますが、質問したくても、「内定が出てから、その質問してくるの?どうして?」と言われてしまうかもしれない。

これが、内定者が抱えているリアルの不安です。

会社にできるのは、入社を強く勧めることではなく、内定者が言い出せない疑問に先回りして答えることです。

次の内定者面談では、「質問はありますか」と聞く前に、聞かれなかった質問への答えを一つ用意してみてください。


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