前回は、内定者が口に出せない本音を紹介しました。
その中で、「内定者は、面接を受けている時よりも、内定をもらってからの方が悩んでいます。」という言葉を書きました。
内定が出ることは嬉しいことなのでは?と考えてしまいがちです。
今回の記事では、会社はその時期に何をすればよいのか?を書きます。
面接中の悩みと、内定後の悩みの違い
面接を受けている間、候補者の関心は1つです。
受かるか、それとも、落ちるか。
やることもはっきりしています。会社のことを調べて、志望動機を整理して、質問に答える。
緊張しますが、思っているよりも時間はあっという間に終わります。
受からなければ次、と気持ちの切り替えが早い人もいます。
しかし、気持ちの切り替えが早い人でも悩むのが、「内定を受け取った時」なのです。
「面接中は、受かることしか考えていませんでした。内定をもらってから、本当にこの会社でいいのか?を考え始めました」
自分が選ばれる側だったのに、選ぶ側に変わる。
「あなたがうちの会社に入りたいって言ったんですよね?」
「他にも候補者がいる中で、あなたに内定を出した意味、わかりますよね?」
そんなストレートな言われ方はされないにしても、候補者の眼には、プレッシャーとして見えています。
なぜ、内定後に悩んでしまうのか?
面接では、仕事の話をしています。
しかし、内定後に考えるのは、引っ越し、通勤時間、家族の予定、今の会社への退職の申し出です。
「いざ、内定をもらってみて、今の上司に退職を伝える場面を想像すると、だんだん気が重くなります」
内定を出した後は、今の会社に、どう伝えるか?を相談に乗って欲しい、という声が非常に多くなります。
これは意外性のある話かもしれませんが、内定者は、身の回りに相談相手が居ません。
内定をもらってから、本当にこの会社に行くのか、家族への説明はどうするのか、今勤めている会社への説明はどうするのか、迷い始めるため、転職活動をしていることを、家族や仲のいい友人にしない人もいます。
だからこそ、内定を出した会社の人事が、頑りになる存在になるのです。
相談できる相手が、思っているよりも居ない
家族には、決まってから話そうと考えています。
迷っている段階で話せば、心配をかけるだけだと思うからです。
職場の先輩や同僚には、絶対に相談できません。
転職を考えていると分かった時点で、今の仕事に影響が出ます。
友人には話せますが、その会社のことも、本人の仕事の中身も知りません。
「良さそうじゃない?応援してる!」で話が終わってしまいます。
転職エージェントは詳しい立場ですが、内定者から見れば、入社を決めてほしい側の人です。
辞退したいとも、迷っているとも、そのままは言いにくい。
残るのは、口コミサイトと検索です。
誰が書いたか分からない文章を読みながら、一人で判断を進めることになります。
会社が「連絡がないので、特に問題はない」と見ている時間は、内定者にとって、聞ける相手がいないまま考え続けている時間です。
人事が、その相談相手になる
意外に思われるかもしれませんが、内定者の状況を一番詳しく知っているのは、内定を出した会社の人事です。
面接で本人の話を聞いており、仕事の中身も、配属先の人も知っています。
退職を伝える場面も、何人分も見てきていますよね。
その立場を使って、何ができるでしょうか?
・退職の伝え方を、一緒に考える。いつ、誰に、どう切り出すか。引き継ぎにどれくらいかかるか。引き止められたときにどう考えればよいか。入社を急がせるためではなく、本人が進められるように話します。
・聞かれていないことに、先に答える。残業の実態、配属先の上司の人柄、同じ職種の先輩が今どうしているか。内定者からは聞きにくい内容を、会社の側から出します。
・迷っていいと伝える。「迷われて当然です」「気になる点があれば、いつでも聞いてください」と会社から言う。この一言がないと、内定者は質問しただけで評価が下がると感じます。
このように、内定を出したあとも候補者の意思決定を支え、最後まで惹きつけ続ける採用を、私たちは「アトラクト採用」と呼んでいます。
この連載で扱ってきたオファーレターは、アトラクト採用を実行するための打ち手の一つです。
内定後を待つ時間にしない、候補者の意思決定を支えるところまでを採用の仕事として設計する。
内定辞退を減らしたい会社に、アトラクト採用の考え方が必要な理由は、ここにあります。
まずは、次の内定者面談で、「今の会社には、どのように伝える予定ですか」と聞いてみてください。
それだけで、会社は内定者の相談相手になれるかもしれませんよ。
※次回は、「アトラクト採用とは何か」を、従来の採用との違いから説明します。
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