「辞退の理由は、他社の方が年収が高かったからだと思います」
内定辞退の連絡を受けたあと、社内ではこのように話がまとまることがあります。
給与で負けたのであれば仕方がない。今の会社の制度では、これ以上の条件は出せない。
そう考えると、採用担当者としても次にできることが見つかりません。
しかし、候補者が会社に伝える辞退理由が、入社を迷った理由のすべてとは限りません。
本記事では、オファーレターを扱う当社の目線で、内定辞退を給与だけの問題として考える前に、会社が確認したいことを説明します。
1. 給与は大切だが、辞退理由はそれだけとは限らない
給与は、入社先を決める大切な条件です。
今の会社を辞めて転職するのであれば、年収が上がるのか、生活にどのような変化があるのかを気にするのは自然なことだと思います。
一方で、候補者は給与だけを見ているわけではありません。
- 入社後に、どのような仕事を任されるのか
- 上司やチームと、どのように働くのか
- 自分の経験を生かせるのか
- 困ったときに、誰がサポートしてくれるのか
- この転職を家族に納得してもらえるのか
候補者の中では、いくつもの不安や期待が重なっています。
その中で「他社の方が条件が良かった」という理由は、辞退を伝える会社にも伝えやすく、説明しやすいものです。
しかし、その言葉の裏には、仕事内容や上司への不安が残っていることがあります。
2. 候補者は提示された条件で比べるしかない
例えば、二つの会社から内定を提示された候補者が居たとします。
一方の会社から届いたのは、給与、勤務地、入社日だけが書かれた内定通知書。
もう一方の会社からは、条件に加えて次の説明がありました。
- 面接のどこを評価したのか
- 入社後、最初に任せたい仕事
- 自分で意思決定できる範囲
- 上司やチームから受けられるサポート
- 入社後の数か月を、どのように進めるのか
給与に大きな差がなければ、後者の方が「ここで働く自分」をイメージしやすくなります。
反対に、会社が条件以外の情報を伝えていなければ、候補者は数字で比べるしかありません。
会社が「条件で負けた」と感じている時、実際には、条件以外の判断材料を十分に伝えられていなかった可能性があります。
3. あなたから見た「うちの会社の良さ」ではなく、「その人にとっての良さ」を伝える
給与以外の魅力を伝えようとして、次のような言葉を並べることがあります。
- 成長できる会社です
- やりがいのある仕事です
- 風通しの良い職場です
- 若手にも大きな仕事を任せます
どれも会社として伝えたいことですが、これだけでは候補者の意思決定に必要な情報になりません。
大切なのは、その人の経験や希望と、入社後の仕事をつなげることです。
例えば、「裁量のある仕事を任せます」ではなく、次のように具体的に伝えます。
面接では、前職でお客様の声をもとに業務を改善した経験をお聞きしました。
入社後は、まず現在の業務の流れを見ていただき、3か月後を目安に改善案を一緒に考えてほしいと思っています。
このように伝えると、候補者は自分が評価された理由と、入社後の役割をイメージできます。
4. 条件を変えられなくても、伝えられる情報は増やせる
会社の給与制度を、候補者一人のためにすぐ変えることは難しいでしょう。
だからといって、「条件で負けたから仕方がない」で終わらせる必要はありません。
オファーレターでは、条件と一緒に次のことを伝えられます。
- なぜ、その人に入社してほしいのか
- どのような仕事を任せたいのか
- どこまで本人が意思決定できるのか
- 上司や会社が、どのようにサポートするのか
候補者が知りたいのは、会社の良さだけではありません。自分がその会社に入社したとき、どのように働くのかです。
まとめ:辞退を給与だけの問題で終わらせない
給与は、候補者の意思決定に関わる大切な条件です。
ただし、内定辞退の理由を給与だけで考えると、会社が変えられる部分まで見えなくなります。
仕事内容、上司、任される範囲、入社後のサポート。こうした情報が足りなければ、候補者は条件で比べるしかありません。
給与を変えることが難しくても、候補者が納得して判断するための情報は増やせます。
オファーレターは、条件以外の魅力を並べるためではなく、その人が入社後の姿をイメージするための大切な手段です。
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